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自尊心の低い子どもが大統領になることを夢見るとき

【国連IPS=カニャ・ダルメイダ】

GCED(世界市民教育)という言葉を聞いたことはあっても、国際開発の世界に入り込まないかぎり、その頭字語が何を意味するのか十分には分からないかもしれない。

世界133か国、8万人以上の子どもたちのニーズに応える支援団体「SOS子ども村」のソフィア・ガルシア‐ガルシア氏は、まさに「世界市民教育」をテーマに15日に国連本部で開催されたセミナーで、非常にうまいまとめをした。

ガルシア氏は、「SOS子ども村」も参加する「ラテンアメリカ・カリブ海における子どものためのグローバル運動」が行った最近のプロジェクトを振り返って、国連の2015年以後の「持続可能な開発目標」(SDGs)に関してラテンアメリカ10か国で1080人の児童・生徒への意見聴取を行った結果について説明した。

「『SOS子ども村』は親からの保護を受けていない子どもを支援しています。彼らはたいてい、きわめて低い自尊心しか持ち合わせていません。」とガルシア氏は満員の会場に対して語りかけた。

「しかし、私たちが自分たちの活動について説明を始め、『あなたの声を聴きたい。あなたが変わるお手伝いをしたい』と語り始めてものの10分もしないうちに、これまでは口を開くことは許されないとさえ考えていた子供たちが、突然『大統領になりたい』などと言いだすのです。」

この活動は、提案されている17項目のSDGsをイラスト入りで子どもに分かりやすく伝えた『私たちの望む世界』という書籍の刊行につながった。

「これは世界市民教育が持つ本当の力です。」とガルシア氏は力説した。

韓国、米国、フランス、ナイジェリア、カタールの国連代表部が後援し、欧州の2600以上のNGO連合体である「コンコルド」のような市民団体や、1200万人の会員を擁する創価学会インタナショナル(SGI)インター・プレス・サービス(IPS)共催したこのパネル討論は、世界市民教育の主な要素について紹介する啓蒙的な場となった。

「生存権や自由への権利の次に来るべきものは、教育を受ける権利です。」「それ(=教育を受ける権利)は全ての自由へのカギを握り、尊厳の基礎となります。つまり、その他すべての権利は、教育を受ける権利の実現いかんにかかっているのです。」と、ナイジェリアのウスマン・サルキ国連代表部次席大使は語った。

しかし、今日の現実は、サルキ次席大使の信念を反映するようなものではない。国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が発表した最新の「万人のための教育(EFA:Education for All)」グローバルモニタリング報告書によれば、5800万人の子どもが学校に通っておらず、さらに1億人が初等教育を終えることができていない。

さらに、児童労働者が1億6800万人、大人の失業者が2億人いる。事態の緊急性は明らかだ。

さらに言えば、約7億8100万の人々が、読み書きができない状況にある。基本的な読み書き能力だけでなく、コンピューター・リテラシーが、ますます、「人間らしいまともな生活」と「貧困生活」の境となっている今日の世界において、これは衝撃的な数字だ。

しかし、世界市民教育とは、単に子どもを学校に通わせればいいという数字上の問題ではない。すなわち、世界市民概念とは、ユネスコによれば、「より広い社会と共通の人類に属しているという感覚」に関係したものなのである。

世界市民教育とは、教室での教授法を転換し、文化的理解と市民の意識の紐帯を創り出し、人権や平和、公正を基盤にした21世紀の世界市民性を涵養(かんよう)していくことを目的としたものである。政策提言はグローバルな規模で起こっているが、世界市民教育の実行は元来地域的な性格を持つものであり、各国の教育当局に従ってなされ、各国や各地域の特定のニーズに見合うように調整されるものである。

世界市民教育概念は、不平等に満ちた世界で機会の平等を生み出すためには基本的な読み書き能力の問題だけでは不十分だと認識している。もっとも豊かな国ともっとも貧しい国の格差は、植民地時代には35対1であったが、今日では80対1にまで拡大しており、世界で最も裕福な85人が、世界の半数の人口が所有する富の合計よりも多くの富を所有しているのである。

むしろ、教育の質こそが、富の格差を縮小し、平和や安全、暴力的過激主義の抑制といった困難な課題の解決を導くものであろう。

ナイジェリアのサルキ副次席大使は、先進国からますます多くの人々が「中東の戦域」に向かっている事実を指摘しつつ、「はたして、こういった人々が無教養だと言えるでしょうか? 実際は彼らの多くが教育を受けており、テロ活動の首謀者は教育レベルの高い人々が多いのが現実です。問題は、彼らがどのような教育を受けてきたかということです。つまり、教育を受けても一方で視野が狭くなるということもありえるのです。」と語った。

世界市民教育概念の起こりは、国連の潘基文事務総長が「グローバル・エデュケーション・ファースト・イニシアチブ(GEFI)」を始めた2012年にさかのぼる。韓国が主要な役割を果たしたキャンペーンが行われ、この動きは、6月末に交渉を経て策定される予定のポスト2015年のアジェンダに関する「ゼロドラフト」成果文書に統合された。

既に、世界市民教育を中心とした数多くの国際的動き、草の根の動きに息吹が吹き込まれ、成果を上げてきている。

例えば、世界市民教育は、ユネスコの2014年~17年の教育プログラムの主要な戦略領域の一つになっている。他方で、「SOS子ども村」のような団体が、最も脆弱な集団を巻き込むために独自の形態の教育を行うことで、彼らの活動の全面に、そして中核にこの世界市民教育概念を据えるようになってきている。

「SOS子ども村」の「ポスト2015年アジェンダ」に関するアドバイザーであるガルシア氏はIPSの取材に対して、「当団体では、離別の危機にある家族、あるいは親からの保護を失った子どもへの緊密な支援を行っています。つまり私たちにとって、非公式教育は正式な教育と同じぐらい重要なのです。」と語った。

「学ぶ場所はいくらでもあります。教室はその一つにすぎません。」と、15日のイベント終了後にIPSの取材に応じたガルシア氏は語った。

この種の思考は、全世界で3億7000万人を数え、その多くが、地域の言語からオーラル・ヒストリーに至る古来の知識継承に取り組んでいる先住民族に対して世界市民教育の恩恵を広げていくのにきわめて重要な役割を持っている。

先住民族が「ポスト2015年アジェンダ」において一定の地位を占めようと努力する中、世界市民教育は、これまでは周縁化されてきた人々をより包摂的で持続可能な枠組みに取り込むのに必要な独創的な戦略を提供することができるかもしれない。(06.15.2015) IPS Japan