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宗教が防災と出会うとき

 【バンコクIPS=カリンガ・セネビラトネ】 

「信仰を基盤とした団体(FBO)」でつくるコンソーシアムが、6月25日、「第6回アジア防災閣僚会議」(バンコク会議)の公式関連行事において、自然災害後に強靭なコミュニティーを形成するための支援をアジア・太平洋地域全域で行う用意があると国連に対して意思を伝える共同声明を発表した。 

 同閣僚会議は、国連国際防災戦略事務局(UNISDRの協力のもと、気候変動が急速に進むなかでアジア・太平洋地域が直面している具体的な諸課題について地域の利害関係者を集めて2年に1度開催しているもので、今年はタイ政府が主催し、6月22日から26日にかけてバンコクで開催された。 

UNISDRがバンコク会議のために準備した報告書は、「アジア・太平洋地域は過去3年、フィリピンの台風被害から、中国・インド・タイでの大水害、パキスタンや日本での大地震にいたるまで、数多くの災害に見舞われた。」と指摘している。 

2011年だけでも、異常気象による激甚災害で国際社会が蒙った経済的損失は3660億ドルにものぼり、そのうち8割がアジア・太平洋地域で発生している。 

アジア・太平洋地域は地球上の陸地の39%、世界の全人口の60%を占める地域だが、世界の富の29%しか有しておらず、災害への準備と緊急対応に関して諸政府は大きな課題に直面している。 

FBOは、困難な時に人びとに希望を与えることでこのギャップを埋めることができると考えている。 

クリスチャン・エイド」に勤めるフィリピン人のジェシカ・ダトール・ベルシラ氏は、「私たちがもたらす物資や私たちが建てる大きな家が最も重要な点ではありません。FBOができる最大の貢献は、災害後の生活再建に向けた長い道のりの中で被災者に対して『あなたは一人ではない』と精神的に寄り添うことができる点にあるのです。」と語った。 

この共同声明を起草した「カリタス・アジア」、創価学会インタナショナル(SGI、「ACTアライアンス」などのFBOのコンソーシアムは、災害救援をおこない被災者を支援するためにFBOが越えなければならない多くのハードルについて協議する事前会合を22日に開催し、さまざまな宗派からの50人の参加者があった。 

最終版の「災害リスク軽減に関する宗教コンソーシアム共同声明」は、地域共同体と緊密に連携してレジリエンス(社会を回復する力)」を強化し平和を構築するFBO特有の能力に着目している。 

人類の8人に1人が何らかの組織的な宗派に属していると推測され、全てのFBOをあわせれば、世界で最大のサービス提供ネットワークを構成していることから、FBOは災害リスク軽減(DDR)分野で、必然的なパートナーと目されている。 

共同声明の中にある提言では、「第3回国連防災世界会議(2015年3月に仙台で開催)」に提出される予定の「災害リスク軽減に関するポスト2015年枠組み(ポスト兵庫行動枠組)」における関係諸団体の1つとしてFBOを認識するよう、国連に強く求めている。 

同声明はまた、各国政府や地方政府に対して、関連諸団体とDDRに関する定期協議を行う際にはFBOも含めるよう要請した。なぜなら、FBOは国際NGOが不在の場合でも、開発プログラムを維持していることが少なくないからである。 

例えば、「カリタス・インドネシア」は2012年以来、過去22年間で海岸の土地200メートルを失ったインドネシアの東ヌサトゥンガラ州にあるファタ集落と協力して、潮位の上昇に対するコミュニティーの対応力を養う努力を続けている。 

同団体は、潮が海岸線に到達する前に竹で作った構造物をすり抜けさせる天然の建築技術を用いて、潮位を下げつつマングローブを保護する活動に従事している「ファタ環境愛好グループ」のメンバーを支援している。 

共同声明の起草に参加したパートナー3者による活動範囲は、併せるとアジア・太平洋の多くの地域をカバーしている。 

カリタス・アジア」は、世界200か国で活動を展開しているカトリック教会の災害支援団体である「カリタス・インターナショナル」を構成する7つの地域オフィスのひとつである。SGIは日本に本拠を置く在家仏教運動で、192か国に組織のネットワークがある。ACTアライアンスはキリスト教教会の連合で、連携組織が140か国以上で活動している。 

3者ともに開発や災害支援の分野における貢献で評価されている。例えば「カリタス・インターナショナル」は毎年100万ユーロ(約1億3800万円)以上を、世界の人道支援の調整や能力育成、HIV/AIDSプログラムに振り向けている。 

「私たちは、災害リスク軽減政策の導入に関して主要プレーヤーの一員でありたいと考えています。私たちは関与する用意ができています。」とACTアライアンスアジア太平洋地域緊急支援オフィスの小美野剛部長は、IPSの取材に対して語った。 

「この共同声明が指摘しているのは、私たちの関与は信仰を基盤としたものであり、それだけ強いということです。私たちは長期にわたって、救援や復興活動に関与できるのです。」と、SGIの浅井伸行氏(創価学会青年平和会議議長)は語った。 

専門家らは、アジア・太平洋地域は、FBOの防災への貢献の効果を図るうえで素晴らしい実験場になる、と指摘している。

独立世論調査機関ピュー・リサーチセンター(本部:ワシントンDC)の調査によると、アジア・太平洋地域には、世界の仏教徒の99%、ヒンズー教徒の99%、イスラム教徒の62%が住んでいるという。 

また同地域ではカトリック教徒の数も着実に増加している。100年前には1400万人だったのが、2013年には1億3100万人にまでなった。 

スリランカやミャンマーのような国では仏教の急進主義が跋扈し、パキスタンでは強い反カトリック感情があり、中国やインドでは宗教的マイノリティが攻撃されるなど、宗教やコミュニティー間の紛争が絶えないアジア・太平洋地域で、宗派間の連携を創り出すのは、「言うは易し、行うは難し」という側面がある。 

しかし、専門家の中には、自然災害の脅威がさまざまな共同体を結びつける、と指摘する者もいる。 

インド国立災害管理研究所アニル・クマール・グプタ政策策定部長は、「人々は災害に直面した時は、お互いの違いなど忘れてしまうのです。」「災害の直後に、ヒンズー教やシーク教の寺院やイスラム組織からの指導者やボランティアが、まるで生まれながらの兄弟のように協力し合っているのを私は見てきました。」と語り、最近の事例として、インド北部のウッタラーカンドカシミール両州で起きた大水害の後でそうした協力があったことを挙げた。 

ミャンマーを拠点とする災害救済コンサルタントのロイ・レゴ氏は、IPSの取材に対して、「今日発表された共同声明は、災害リスク軽減において非常に重要な画期的出来事です。」「FBOは、ポスト兵庫行動枠組の発表において、それを担う構成員の一つとして、人々の目にもっと留まる存在となる必要があります。」と指摘したうえで、「FBOが災害リスク軽減になしうる最大の貢献は、さまざまな共同体の間に平和な暮らしを生み出すことにあると考えています。」「他宗教に対する尊重は、非宗教的な形でなされる必要はありません。それは、FBOが他のFBOと宗派横断的な環境の中で協力し合うなかで、自然と生ずるものなのです。」と語った。(06.25.2014) IPS Japan

 

「隠れた意図」への懸念を克服する(取材メモ) 

各国の災害リスク軽減(DDR)枠組みにFBOを含むことに対して異議が存在する背景には、FBOが援助・開発事業の提供者としての立場を利用して、各々の宗教活動を展開するではないかという懸念がある。 

例えば、2004年のスマトラ沖地震・津波のあと、スリランカとタイの仏教徒のコミュニティーやインドネシアのイスラム教徒のコミュニティーでは、FBOが被災者に対して各々の信仰を押し付けようとしているとの苦情の声が噴出したという。 

IPSの記者が今回の会合においてこの問題を提起したところ、参加者の間で盛んな議論が行われた。 

多くの参加者は、そのような懸念はFBOの本質を見誤ったものと考えている。なぜならFBOは、信仰を持っていない人や他宗教の信者を改宗させるというよりも、むしろ人生に価値を与えたいという願望に突き動かされて活動を展開しているからである。 

「もし信条が発展を阻害するものだとしたら、そうした価値観を疑わなければなりません。」と、ムニールとのみ名乗ったミャンマーからの参加者は語った。 

カリタス・インドネシアのヴィンセンティア・ウィドヤサン・カリナ氏も同意し、こう続けた。「2004年のスマトラ沖地震後・津波のあと、カリタスはインドネシア北部のアチェ地域の復興支援のため、イスラム教徒のコミュニティーに入って活動しました。そして、礼拝施設を必要とするイスラム教徒のコミュニティーのニーズを支援したのです。」 

SGIのようなFBOはさらに一歩進んで、一切衆生を同時に救済することを説く法華経の教えを実践している。 

浅井氏は、「法華経では、生まれながらにして全ての人に仏性(仏が有する特質)が備わっており、この仏性が他の多くの人々を幸福や啓発へと導く手助けをしている、と説いています。」と指摘したうえで、「私たちは、仏教徒が少数派の国では他の関連諸団体と協力し合っています。こうしたネットワークを構築した方が、支援活動がしやすくなるからです。」と語った。